季節のサイクルと共に生きる「二十四節気」

「二十四節気(にじゅうしせっき)」という言葉は聞いたことがありますか?

「二十四節気」と聞いても
ピンとこない人も多いかもしれません。

ですが
「春分」「夏至」「秋分」「冬至」という言葉でしたら
皆さんの身近にいつもある言葉なのではないかと思います。

今回は、この「二十四節気」の解説と
日本の行事や風習についてお伝えしたします。


二十四節気とは

「二十四節気」は元々、月の満ち欠けと深く関わる旧暦を使用していた時代に、季節を表す為に使用されたものです。

「立春ですから、暦の上では春ですね。」
と言うと、「立春や春分」という「二十四節気」がまるで旧暦の事をいうように聞こえますが、実はそうではなく、「二十四節気」とは旧暦と一年の季節を一致させる為に必要なもの、という事なのです。

月の満ち欠けを元にした旧暦と二十四節気の関係

昔は今のように太陽の動きを基にした太陽暦ではなく、太陰暦という月の満ち欠けを基にした暦を使用していました。
太陰暦は月の周期を基準にしている為、1ヶ月が約29日、そして1年は約354日になってしまいます。

年単位で時間が進むと、季節と日付に誤差が生じ、どんどん拡がっていってしまう事になるのです。

月を見上げるだけで今がいつなのかがわかり、潮の満ち干もわかるため、漁業には向いた太陰暦ですが、当時の暮らしを支えていた作物の収穫にとって「季節と日付が一致しなくなる」という事は致命的で、生活にとても不向きだったのです。

そこで、太陽の動きを基準にした二十四節気を元に「閏月」という1ヶ月を定め、1年間と季節の誤差が広がらないよう修正をするようになりました。

こうして「太陰暦」を「二十四節気」によって修正した暦を「太陽太陰暦」つまり、「旧暦」と呼ぶようになったのです。

二十四節気は太陽の動きで季節を表す

二十四節気とは黄道(天動説で太陽が地球の周りを一周する軌道)の360度を15度ずつ、24等分し、その区切りに名前をつけたものです。(空間分割法といいます)

これは度数と分割数こそ違いますが、ホロスコープで表す星座と同じ様な考え方なのです。
(星座は30度ずつ12分割します)
始まりの0度が春分点、そしてその対極に秋分点、という所も勿論同じです。

春分点から秋分点までの一直線を垂直に等分した直線と、黄道が交わる点を冬至、夏至と定めています。

つまり太陽と地球の位置関係を表したものですから、「二十四節気」は確実に季節を表すことが出来るのです。


詳しく二十四節気を知る

私たちにとって当たり前に巡ってくる季節を知らせてくれ、再認識させてくれる「二十四節気」。
実際にカレンダーの何月何日頃が、「二十四節気」の何に当たるのかをお伝え致します。

月名と対応する日付

季節 旧暦 二十四節気 新暦
旧暦1月 立春 2/4~2/17頃
雨水 2/18~3/4頃
旧暦2月 啓蟄 3/5~3/19頃
春分 3/20~4/4頃
旧暦3月 清明 4/5~4/19頃
穀雨 4/20~5/4頃
旧暦4月 立夏 5/5~5/20頃
小満 5/21~6/4頃
旧暦5月 芒種 6/5~6/20頃
夏至 6/21~7/6頃
旧暦6月 小暑 7/7~7/21頃
大暑 7/22~8/6頃
旧暦7月 立秋 8/7~8/22頃
処暑 8/23~9/6頃
旧暦8月 白露 9/7~9/22頃
秋分 9/23~10/7頃
旧暦9月 寒露 10/8~10/22頃
霜降 10/23~11/6頃
旧暦10月 立冬 11/7~11/21頃
小雪 11/22~12/6頃
旧暦11月 大雪 12/7~12/20頃
冬至 12/21~1/4頃
旧暦12月 小寒 11/5~1/19頃
大寒 1/20~2/3頃

季節毎の主な行事

こうして二十四節気を全て並べてみると、全てを覚えるというのはとても難しそうに感じます。ですが季節毎の主な行事や主な節気の意味を知っていると、生活に密着し理解が深まっていくのではないでしょうか。


春「立春と春分」

旧暦では、立春に最も近い新月の日を元旦としていました。
ですから、昔はその旧暦の元日も、立春も共に新年の始まりとして、とてもおめでたい時期だったのです。決まりごとや季節の大きな節目となっています。

春分は、太陽黄径0度の位置のことですから、太陽が真東から昇り、真西に沈む時です。
つまり、春分では昼の長さと夜の長さが同じということになります。
この春分の日の三日前から、一週間は「お彼岸」とされ、ご先祖様の供養をする期間となっています。

また春分の日に最も近い戌の日を「社日」とし、生まれた土地の神様をお参りして、五穀豊穣をお祈りする風習もあります。


夏「立夏と夏至」

夏の始まりとされているのが立夏です。
丁度春分と秋分の中間にあたり、「夏も近づく八十八夜~」と歌われるあの八十八夜の3、4日後の頃を言います。
現代では5月のはじめですから、気候が変わり、夏に向けての準備がされます。現在では衣替えならぬ、クールビズのスタートがこの頃となっています。
田植えはこの立夏を境に各地で始まっていきます。

夏至の日には「菖蒲湯に浸かる」という風習をよく言われますが、実は菖蒲湯に浸かるのは「端午の節句」の時です。
旧暦で「端午」は五月の初めを意味する為、混ざってしまったようです。


秋「立秋と秋分」

立秋は8月の頭ですから、まだまだ暑さがピークの時期ですが、秋の始まりとされています。暑中お見舞いも、暑さが残る時期なのですがこの日を境に残暑お見舞いと名前が変わります。お盆の時期でもありますから、全国の神社や各自治体でお祭りが多く行われる時期です。

秋分は春分と同じく、昼と夜の長さが同じになります。ですから、春と同じように秋のお彼岸で、ご先祖様の供養をする時期となっています。
またこの時期は中秋の名月といわれる美しい満月を眺める、お月見や、春と同じように生まれた土地の神様に「収穫の感謝」を伝えるなど、沢山の行事が行われます。


冬「立冬と冬至、節分」

現在ではこの時期に台風が接近するという年もありますが、二十四節気では冬の始まりを意味します。
各地で紅葉が見頃になる時期です。冬至は1年の間で最も昼間が短い時で、土地によって風習は異なりますが、南瓜を食べたりゆず湯に浸かる風習があります。

そして、恵方巻きを食べたり豆まきをして多くの人が楽しむ「節分」は二十四節気の最後の日を意味します。
元々は節気の分け目を意味する「節分」ですが、私たちが普段「節分」と呼んでいる日は、春分の日の前日「旧暦の年越しの期間」ということなのです。
中国や旧暦に深い関係のある場所では、現在の元旦と同じように盛大にお祝いをします。
節分は、一年の邪気を払いまた新たな一年を迎える大切な日なのです。


季節の意味を知って生活していく

二十四節気それぞれには、きちんと意味があります。
現在の季節感とは多少異なった季節の名前で呼ばれますが、そこには私たちの祖先が大自然、そして宇宙と共に生きていく為に集めた知恵や、万物に対する感謝が沢山詰まっているのです。

なんとなく過ぎていく事も多い、二十四節気の節目ですが、意味を知りその意味に寄り添って生活してみる事で、新たな恵みや叡智、そして何より感謝の心に出会えるかもしれません。

 
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